【読書ログ】苦しかったときの話をしようか
おっしゃられていることにもの凄く共感したということと、新たな気づきを与えてくれたということで頭の片隅に森岡さんの名前が残るようになりました。
その後、彼があの崖っぷちだったUSJをV字回復させた魔術師だったということ、また本屋のビジネスや自己啓発コーナーでよく特集されているベストセラーの著者であることを知ります。
そのベストセラーこそが、『苦しかった時の話をしようか』です。
この本は森岡さんが、就職活動を目前に控えた実娘のためにしたためた手紙を書籍化したもの。
本気で伝えたいんだろうな、というハートの熱量を感じたので、30代のいい大人である私にもぐっとくるものがあった。
10代後半、20代前半の若かりし私に是非ともプレゼントしたい本だと思いました。
まあ、そんな寝言を言っているくらいだから、プレゼントしたところで結局当時の私には響かず同じ道を辿ることになるのですが。。
今の若者で、この本を読んで何だかワクワクした方はきっとこれから日本を襲う荒波を華麗に乗りこなすことができるのはないでしょうか。
少々出会うのが遅かった私ではありますが、覚えておきたいことを記録しておこうと思います。
1. 自分の宝物を知り、輝くキャリアを選択する
全ての人が自分だけの宝物を持っている。
それは、自分がこれまでの人生の中で見てきた景色、経験してきたこと、身を置いてきた環境などあらゆる要素が複雑に混ざりあい醸成された、世界に一つだけのものであり、何事にも代えられないかけがえのないものである。
しかし、その宝物はあらゆるシーンで価値を保つような汎用的なものではなく、最も価値を発揮する文脈がある。
キャリア戦略とは、自分の宝物を認識し、その宝物がもっとも輝く文脈を探しながら泳いでいくこと。
より良いキャリア戦略を歩むためには、宝物をスキルにして研ぎ澄まそう。
私の仕事はスキルがダイレクトに市場価値に繋がるのでグサッときます。
でも、そもそも宝物をどうやって見つけるのか。
2. 自分の強みを知る
強みを見つける近道は、社会との関わりの中で気持ちの良かった文脈をとりあえず列挙することです。なるほどわかりやすい。
その文脈の積み重ねが自分の好きなこと、得意なことを定義しているので、列挙することで自分の強みが見えてくる。
列挙のポイントは『動詞』であること。動詞レベルまで具体化しないとぼんやりとした輪郭の列挙になってしまう。
動詞を列挙したら、それらを「Thinking」、「Communication」、「Leadership」の3つのカテゴリーに振り分けていくことで自分の特性を知ることができます。
私は「Leadership」の色が強く出ました。
重要なのは、ナスビは立派なナスビを目指すべきであること。自分の特性を知ったら、その特性をスキルとし大事に磨こうということ。無理してまで向いていないことをしなくてもいい。
自分の強みを知ったら、目的を設定し、その目的を果たせるような環境に属せるようになるために自分をマーケティングする。
この辺の手法については、著者自身が凄腕マーケターということもあり、具体的な方法論が書かれている。
就活生や転職活動中の方は是非実際に手にとって読んでみてください。
3. なぜこの本に心を打たれたか
今日日の風潮。
感情に訴えかけ、みんな違ってみんな良いという使い古しの幻想的結論を垂れ流し無意識的に受け入れ、まるで脳内麻薬のように気持ち良くなること。
森岡さんも自分だけの「強み」を見つけ育てることの重要性を散々説いていますが、それは決して無責任なみんな違ってみんな良い的なベクトルには向かない。
現代資本主義社会のある種非情な現実を生きなければいけないという前提のもと、そのような荒波を自分の思う方向に泳いでいけるような人間になるための有益なアドバイスを惜しみなく読者に与えてくれる。それらのアドバイスは元々はご自身の愛すべき娘に向けた言葉なので、そこにまやかしはないと感じたし、熱量も感じられました。
私のようなおじさんの心もガツーンと打たれました。
語るのは自由、想うのも自由。
しかし結局はこの醜くも素晴らしい世界を生きていかなければいけないのだから、リアルであるべきと思います。
4. その他メモ書き
個人的に覚えておきたい言葉がいくつかあったので箇条書きしておきます。
- 市場の需要は、大きな目で見ると必ず消費者のプレファレンス(相対的な好意度)に従う。
- 具体的な「こと」から発想せず、「将来の状態」から発想する。
- 自分が提供するベネフィット(本質的価値)を知る。ベネフィットとはドリルではなくドリルが開ける穴である。
- 自信を無くした時、モチベーションが上がらない時は、「今日の自分は何を学んで昨日の自分とどう変わったか」を些細なことでも良いので一つでも答えられたそれだけで自分を褒めてあげる。
- 不安とは、退避的本能を克服して挑戦している自身の勇敢さが鳴らしている進軍ラッパなので、自分の勇敢さと知性が大きいほど不安も大きくなる。心配するな!!